日本感染症学会と日本化学療法学会は、2日付で塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症経口薬「ゾコーバ」の緊急承認を求める提言を加藤勝信厚生労働相に手交した。現在、抗ウイルス薬が投与できる患者が限られていると指摘。7月の審議時よりも状況が悪化していることへの懸念を表明し、感染拡大を防ぐためにも、「一刻も早い承認が必要」と訴えた。

 提言では、現在、国内で承認を受けている内服薬には「適応に制限」があるとし、60歳未満の場合、解熱剤などの対症療法薬の処方しか受けられないとした。そのうえで、自宅療養中に同居家族に感染が広がることが「医療ひっ迫の大きな原因になっている」と強調。軽症者にも投与のできる抗ウイルス薬を臨床現場に導入する必要性があるとした。

 そうした問題意識の下、早期にウイルス量を低下させる抗ウイルス薬に対する緊急承認制度への適用か、承認ずみ抗ウイルス薬の適応拡大を「真剣に検討すべき」と要望。足元、継続審議となっているゾコーバの緊急承認を国に迫った。

 ゾコーバが継続審議となった背景には、塩野義が実施した治験では、有効性を示す主要評価項目が未達だったことがある。だが、今回の提言では、ゾコーバではウイルス量が減少していることに着目。オミクロン数の流行で同感染症の「臨床像は大きく変化」したことを考慮し、「抗ウイルス効果のある経口抗ウイルス薬を社会全体で広く使用」し、今回のパンデミックを制御すべきだとした。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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