政府は1日、国産の新型コロナウイルスワクチンの早期実用化を目指す国家戦略「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を閣議決定した。閣議に先立ち開催した健康・医療戦略推進本部(本部長=菅義偉首相)で取りまとめた。遅れている国産ワクチンの開発、薬事承認プロセスの迅速化や基準整備とともに、製造拠点の整備やワクチン開発・製造産業の育成・振興、国際協調などを打ち出した。

 同戦略は後手後手となっているワクチン国産化を挽回するのが狙い。研究機関や製薬企業の代表者らで構成する「医薬品開発協議会」の提言を踏まえ策定した。世界トップレベルの開発拠点の形成といった取り組みも盛り込んだ。喫緊の課題は、実効性のある施策のための十分な予算措置。現下の新型コロナウイルスだけでなく、今後の新興・再興感染症に備えたワクチンの国内開発・生産体制を築いていくことも念頭に置く。

 井上信治健康・医療戦略担当大臣は同日の閣議後会見で「これからが勝負の時。外交や安全保障の観点からも極めて重要だと認識している。国民の関心も非常に高く、国民の命と健康を守るための最優先の課題だ。この戦略に基づき、緊張感とスピード感を持って強力に進めていく」と述べた。

 また、田村憲久厚生労働大臣も「各省庁連携し、しっかりワクチン開発できるような環境、体制整備をしていく。承認プロセスをいかに迅速にできるか。いろいろな検討を始めることになる」と語った。そのうえで、「感染症などパンデミックは何年かに1回来るといわれているので、そういう状況にも対応できるワクチン開発ができる体制を整えていく」とした。

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