政府は4月にも国産ワクチンの開発・生産体制強化に向けたタスクフォース(TF)を設置、議論を開始する。新型コロナウイルス感染症流行によって顕在化した日本のワクチンをめぐる問題点の洗い出しを行うのが狙いで、大学や研究機関の機能拡充と研究体制など4つの論点を軸に検討を進める。今夏に提言をまとめ、2022年度予算概算要求に反映する。

 研究機関や製薬業界の代表者らで構成する政府の有識者会議「医薬品開発協議会」の下部組織としてTFを立ち上げる。和泉洋人首相補佐官を議長に、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の各府省関係者で構成。必要に応じて、製薬業界などからヒアリングも実施する。

 主な論点は、(1)感染症の主要大学・公的研究機関の機能拡充と研究体制(2)支援のあり方、企業の研究開発・生産体制の整備とその維持、ベンチャー投資の増大(3)治験環境・薬事承認やワクチンギャップを改善する制度設計(4)国際協調と国際共同治験-の4つ。ワクチンの早期実用化を阻む壁として、製薬企業から指摘の出ている最終段階での大規模国際臨床試験も議論の対象となる見通しだ。

 設置にいたった背景には、国産ワクチンがいまだ薬事承認にいたっていないという問題意識がある。国内感染症研究の相対的な地位低下や重点領域の変化、制度的な課題など産学官にまたがる問題があると分析。そのため、今回、TFを設け、省庁横断的に議論していくこととした。

 近くTFで論点整理に着手し、まとめた資料を医薬品開発協議会に提出。その後、同協議会で検討し、夏までに提言にこぎ着けたい考えた。新型コロナウイルス感染症だけでなく、今後、到来する可能性がある感染症対策にも生かせるような内容としていく。

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