安倍晋三首相は28日夜の記者会見で、富士フイルム富山化学の新型インフルエンザ薬「ファビピラビル」(製品名・アビガン)について、薬事承認を目指す臨床試験を始める方針を明らかにした。
 同剤は現在、観察研究として使われ、これまでに数十例に投与された。首相は「新型コロナウイルスの治療薬として正式に承認するにあたって必要となるプロセスを開始する」と表明。海外とも協力しながら正式な薬事承認を得るための臨床試験を進め、薬剤の増産もスタートさせる考えを明らかにした。
 こうした検討要請を受け、富士フイルムはアビガンの増産を決めた。富士フイルム富山化学の富山工場(富山市)で増産準備を進める。生産量などは明らかにしておらず、出荷は4月以降になる見通し。
 日本で新型コロナに対する観察研究などが行われている医薬品は、同剤や米ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」、帝人ファーマの「オルベスコ」など4剤。首相は5つ目の治療薬候補として、日医工などの膵炎治療薬「フサン」も観察研究を始める計画を明らかにした。

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