新型コロナウイルス感染症の治療薬として注目されている抗マラリア薬「クロロキン」「ヒドロキシクロロキン」について、欧州医薬品審査庁(EMA)は1日、原則として臨床試験のみに使うことを承認した。米国では両剤の新型コロナ適応が緊急承認されたが、欧州は有効性を保証するデータが不十分として、現時点では臨床試験に限定する方針を決めた。
 クロロキンとヒドロキシクロロキンは、新型コロナ治療に効果があったという報告が各地で出ている一方、重篤な副作用も懸念されている。EMAは安全性が十分に検証されていないとして、新型コロナ治療には臨床試験または国が認めた緊急使用のみに対して使うべきとのガイダンスを発表した。今後始まる大規模な臨床試験の結果を踏まえ、薬事の取り扱いを改めて判断する。
 米国では、米国食品医薬品局(FDA)が3月28日、緊急使用許可(EUA)制度で両剤を承認し、臨床試験以外でも使えるようになっている。両剤の臨床試験などに参加できなかった入院患者が対象。EUA承認されている新型コロナ治療薬は現時点で両剤のみであるため、米国では両剤の需要が急増している。スイス・ノバルティス、独バイエル、米マイラン、イスラエルのテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズなどが、米国などへの薬剤提供を発表している。

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