新型コロナウイルスワクチンを開発している欧米製薬9社は8日、安全性を最重視してワクチンを開発していく共同声明を発表した。臨床試験で安全性、有効性が確認されるまでは申請せず、薬事当局の承認も求めない。最終治験の結果を待たずに緊急承認されるとの思惑も浮上しているが、早期開発を求める政治的な動きをけん制したかたちだ。

 米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカ(AZ)、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、仏サノフィなど9社の経営トップの連名で、共同声明を出した。

 声明では(1)接種する人の安全と健康を最優先する(2)第3相臨床試験で米国食品医薬品局(FDA)などが示している有効性や安全性に関する承認要件が確認された場合のみ承認申請・緊急使用許可を申請する(3)グローバルな供給体制を整備する-ことなどを確認した。

 かねてファイザーやAZなどは今秋にも試験結果が出て承認申請する可能性を示唆してきた。米国では11月初旬の大統領選前に緊急承認されるとの期待もある。各国政府を通じたワクチン争奪戦も過熱しており、こうした政治的な動きにくぎを刺した。

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