新型コロナウイルス感染症に対する抗体の治療薬2品が、米国の緊急使用許可(EUA)申請された。米イーライリリーが開発中の抗体医薬と、トランプ米大統領が投与を受けた米リジェネロン・ファーマシューティカルズの抗体カクテル療法。いずれも感染者由来のモノクローナル抗体を応用して創製された治療薬だ。早ければ年内にもEUAを取得できる見込みになった。米国以外の国でも承認申請に向けて協議されている。

 今月7日、リリー、リジェネロンがコロナ向け抗体医薬のEUAを申請したことをそれぞれ発表した。リリーが申請したのは、カナダのアブセレラ・バイオロジクスから導入した「バムラニビマブ(一般名)」。軽度~中等症患者を対象に申請した。中国のジュンシ・バイオサイエンシズから導入した「エテセビマブ」と併用する治療法も、来月にはEUA申請する。来年4~6月期には通常の薬事承認も申請する計画だ。米国以外の当局とも申請に向けた協議を行っている。重症患者対象の臨床試験や、予防薬としての試験も実施中。

 リジェネロンが申請したのは、抗体2種類を組み合わせたカクテル療法。対象とする患者層などは明らかにしていない。同社の抗体療法は、先ごろ感染が明らかになったトランプ大統領が投与を受けたことで注目を集めた。同大統領は7日、ツイッター上で両社の抗体療法に言及し、「(EUAについて)いち早く対応する。私はすでに認めた」とコメント。米国で幅広く無償提供する考えを表明した。

 実用化に向けて両社とも量産体制を急いでいる。リリーは米アムジェン、リジェネロンはスイス・ロシュと製造提携。リリーのバムラニビマブ単剤は今月中に10万回分、年内に100万回分の治療薬を準備。リジェネロンは2~3カ月内に30万人分の治療薬を用意する。

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