韓国のバイオ製薬企業が新型コロナウイルスの抗体療法の開発に乗り出している。韓セルトリオンは、有効性が期待される中和抗体を同定し、7月にも最初の臨床試験を始める。新型コロナ以外のコロナウイルスにも対応した「スーパー抗体」も開発する。韓サムスン・バイオロジクスもCMO(医薬品製造支援)として米ベンチャーと提携し、量産に向けて準備を進める。

 セルトリオンは、韓国の医療機関から入手した回復患者の血清を用いて、ウイルス抗原の働きを中和する抗体を開発。新型コロナウイルスの抗原に結合する抗体約300個の中から、「最も強力な」活性を持つ中和抗体14個を同定した。今後は量産の検討を進めながら、動物試験で有効性、毒性を評価する。7月にも最初の臨床試験を始める。また、新型コロナ以外のコロナウイルスにも対応した「スーパー抗体/抗体カクテル療法」も開発している。

 サムスン・バイオロジクスも、抗体療法の生産に乗り出す。米ヴィル・バイオテクノロジーが開発する抗体療法の製造契約を結んだ。10月から試験生産を始め、来年には量産を始める。ヴィルは米バイオジェンや中国のCMOウーシー・バイオロジクスとも同様に提携。臨床開発では英グラクソ・スミスクライン(GSK)と提携し、3~5カ月以内に第2相臨床試験を始める計画。

 抗体療法は、夏頃から各社の臨床試験が続々と始まる見込み。米リジェネロン・ファーマシューティカルズは6月頃、米イーライリリーや英アストラゼネカ(AZ)は夏の終り頃に治験入りする見通しを示している。

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