富士フイルムは19日、人工知能(AI)を使った新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術の開発に乗り出したと発表した。京都大学と開発した間質性肺炎の病変を定量化する技術を応用し、コロナ患者の経過評価や治療効果の判定などにつなげる。開発にあたっては、コロナ患者を受け入れる国内医療機関との研究を推進。第1弾として神奈川県立循環器呼吸器病センターと始動し、共同研究先を順次広げていく。薬事の認可を経て、2020年度中の製品化を目指す。

 新型コロナによる肺炎は間質性肺炎と同様の画像所見がある。肺炎の進行や治療の効果を確認するためには、胸部のコンピューター断層撮影装置(CT)画像から徐々に変化する病変の性状を目視で確認しなければならない。1患者当たり数百枚にもなるCT画像の読影は専門医でも非常に負担がかかる。

 富士フイルムの間質性肺炎の定量化技術は、AIを用いて設計したソフトウエアがCT画像から肺内の気管支や血管など7種の病変性状を識別して自動で分類する仕組み。京大が保有する症例データに適用し「高精度な識別性能を実現した」(同社)という。

 具体的な製品名については言及していないが、自社の画像診断システムの一機能として提供していくもようだ。AIによる診断支援技術は、今後開発が期待されるさまざまな治療薬の効果判定にも利用できるとみている。

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