島津製作所は11日、アビガンなど新型コロナウイルスの治療薬候補それぞれに対応した安定同位体試薬6種を国内で発売したと発表した。同試薬は液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)による定量分析に補助的に使用。精密に血中の薬物濃度を測定することができる。製薬企業や医薬品開発業務受託機関(CRO)、研究機関などへ供給。迅速な治療薬開発に貢献していく考え。

 同試薬は2017年に傘下とした仏試薬メーカー「アルザキム」が3月に開発。すでに欧州などで販売を開始している。販売は分析機器部品・消耗品を取り扱う子会社「島津ジーエルシー」(東京都台東区)が担う。

 すでに承認されたレムデシビルに加え、抗インフルエンザウイルス薬「ファビピラビル(製品名・アビガン)」、急性膵炎治療剤「ナファモスタット(同・注射用フサン)」、抗HIV薬「ロピナビル/リトナビル(同・カレトラ)」、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン(同・プラケニル)」、同「クロロキン」に対応した同試薬をラインアップ。血中の薬物濃度と効果や副作用との関係の検証に活用できる。

 欧米の医療機関ではLC-MSによる「血中薬物モニタリング(TDM)」が盛んで、投薬量の緻密な管理などに寄与している。一方、日本では医療機関にLC-MSがあまり普及しておらず、実績が少ない。今後、普及が進めば、国内の臨床現場での同試薬のニーズも期待できる。

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