昭和電工マテリアルズは28日、国立がん研究センターと新型コロナウイルスの新たな細胞性免疫検査法に関する共同研究を開始したと発表した。共同研究契約を3月に締結、4月から研究に着手した。既存の細胞性免疫検査で要する時間を短縮し、検査当日に結果を得る方法の確立、迅速検査キットの製品化を目指す。

 同社グループから、体外診断用医薬品などの事業を手がける日立化成ダイアグノスティックス・システムズ(来月社名をミナリスメディカルに変更予定)と、米子会社昭和電工マテリアルズ・アメリカのリサーチ・センターが参画。細胞性免疫検査の測定基盤技術などを生かし、即日検査結果が得られる迅速検査キットの製品開発を推進する。

 新型コロナ感染症でワクチン効果判定などに用いられる抗体検査は、抗原に対抗する液性免疫の獲得状況を把握する。一方、獲得免疫には免疫細胞自体がウイルスなどに感染し異常細胞を攻撃・排除する細胞性免疫がある。細胞性免疫は液性免疫より比較的長く免疫力を維持できることが複数の研究で明らかになり、感染防御に重要な役割を持つと知られる。細胞性免疫検査は変異株に対する獲得免疫の強さや、ワクチンの有効性評価などで重視されるとみられる。

 しかし、既存の細胞性免疫検査法は2日から1週間を要し、多くの検体検査には適していない。そのため、昭和電工マテリアルズと国立がん研究センターは新規迅速検査方法の開発を目指すこととした。

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