東京大学医学部附属病院は、新型コロナウイルス感染症を対象に、急性膵炎薬「ナファモスタット」単剤療法の可能性を探る特定臨床研究を開始した。被験者数は30人を予定。早期軽症の患者に投与し、ウイルスの抑制効果、安全性、至適用量を検討する。東和薬品が試験薬1600本を無償提供する。同薬に関しては新型コロナウイルスの細胞侵入を阻止する機能があると報告されている。

 ナファモスタットは、「フサン」という名称で日医工が発売し、東和もジェネリック医薬品(後発薬)を出している。新型コロナウイルス感染症をめぐっては、昨年3月に東京大学医科学研究所の井上純一郎教授らが治療薬となり得る可能性を指摘。似た成分を有する「カモスタット」よりも低い濃度で侵入阻止することを突き止めている。また、変異株への効果を示唆する実験結果もある。

 そこで東大附属病院の森屋恭爾教授を代表研究者に探索研究を実施し、ナファモスタット単剤療法での有効性を見極めることとした。介入研究として、試験デザインは無作為化比較非盲検。20歳以上の男女軽症患者を対象に行う。主要評価項目は治療開始前から治療6日目までの鼻咽頭中のウイルス減少推移。バイタルといった臨床症状などを副次評価項目にした。

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