栄研化学は新型コロナウイルスの検査薬を増産する。「LAMP法」と呼ぶ独自技術で遺伝子を増幅し、感染の有無を判定する検査薬で、PCR検査と同じ位置付けで利用されている。検査需要の拡大を受けて5月から月約20万テストに供給量を増やす。流行が長引けば追加増産も必要となり、同約40万テストに拡大することを検討する。

 同社の検査キットは検体からRNAを抽出する作業が簡便なうえ、抽出したRNAから35分でウイルスを検出できる。2月中旬から研究用試薬や体外診断薬として販売し、4月末までに約8万テスト分を出荷した。和田守史社長は28日の決算説明会で「出荷とほぼ同数の受注があり、(流行の状況などを踏まえ)5月以降、約20万テストに供給を増やす」と話した。検査薬は栃木県内の工場で生産している。

 同社のLAMP法技術はSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時にも検査薬が開発され、専用の検査装置が検疫所などに導入された。現在までに医療機関、衛生研究所、保健所、検査会社など500施設に導入され、6月までに新たに百数十台が導入される予定。新型コロナの収束時期は読みにくく、長期化すれば約40万テストに追加増産する必要もあるという。

 新型コロナ検査の需要が好調な半面、都市封鎖や外出自粛などの影響で健康診断など通常の検査が減少し、4月の需要は国内では2~3割、海外では8割減っているケースもある。和田社長はコロナの影響を「現時点で合理的に算定することは困難」とし、2020年4~9月期および21年3月期の業績予想を未定とした。

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