欧州医薬品審査庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)は6日、中外製薬が創製した抗体医薬「アクテムラ」を新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として承認推奨する見解を出した。ステロイド剤による治療中で、酸素吸入や人工呼吸器が必要な成人の重症患者が対象。スイス・ロシュが販売申請した。

 推奨の根拠とした臨床試験では、標準治療にアクテムラを上乗せすることで死亡・入院率を低下する傾向を確認した。治療後28日以内の死亡率は、アクテムラ・標準治療群が31%、標準治療群が35%。退院した患者比率はアクテムラ・標準治療群が57%、標準治療群が50%だった。ステロイド剤を投与していない患者群に絞るとアクテムラ群のほうが死亡率が高かったため、ステロイド剤を投与中の重症患者に限定して使われる予定。欧州委員会が近く最終的な審査結果を出す。

 アクテムラは関節リウマチ治療薬などとして販売されているが、コロナ患者の免疫暴走により生じる重篤な肺炎症状にも有効と報告されている。米国や世界保健機関(WHO)なども緊急使用許可・推奨している。日本でも中外が年内に申請予定。

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