武田薬品工業は、CSLベーリングなどと共同開発してきた新型コロナウイルス感染症に対する高度免疫グロブリン製剤の臨床試験(治験)で、有効性が認められなかったと発表した。米国立衛生研究所(NIH)の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)主導で行われた治験で、日本も参加した。この結果を受け、武田薬品など血漿分画製剤事業者13社によるアライアンスも終了する。
 治験が行われたのは、コロナ回復者の血漿から精製した中和抗体を含む免疫グロブリン製剤。NIAID主導の国際共同治験として、重症化リスクが高い入院患者約600例を登録した。日本も国立国際医療研究センターなどによる医師主導治験として参加した。コロナ治療薬「レムデシビル」に上乗せ投与した場合の症状改善度を評価したが、有効性の評価項目を達成できなかった。安全性上の問題はなかった。死亡率などほかの評価項目は解析中。
 治療薬は、武田薬品やCSLなど血漿分画製剤事業を手がける企業13社がアライアンスを組んで開発した。今回の治験結果を受けてアライアンスは解消する。今後の開発は各社で決めるが、武田薬品の方針は未定。同社は旧シャイアーの米国工場で治験薬を製造していたが、回復者から収集した原料血漿の扱いは今後検討する。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る