琉球大学の宮田龍太助教、中央大学の田口善弘教授らの研究グループは、人工知能(AI)を用いて、34人分約6万個の遺伝子群から新型コロナウイルスに関連する遺伝子群123個を特定した。血液から採取したデータを「PCAUFE」という手法で分析することで、感染者の体内で発現量が異常に変化している遺伝子を検出。従来手法と比べ10倍以上の絞り込みができ、創薬ターゲットとしての活用を見込む。

 新型コロナウイルス感染症治療薬の開発には遺伝子発現解析が有効だが、候補となる遺伝子群は5万9618個も存在し、明確な原因を探るのが難しかった。研究グループは以前開発した教師データを必要としないAI手法を活用することで、健常者のデータと比べて異常に多いもしくは少ない発現の遺伝子群123個が新型コロナウイルス関連遺伝子だと突き止めた。

 123個の関連遺伝子群は免疫に関するものがほとんどで、なかでも「NFKB1」「RELA」という転写因子を有するものが多かった。免疫系と深い関係があることから、新型コロナウイルスがその活性を抑制している可能性があることも明らかにした。

 研究グループは、これらの遺伝子群や転写因子が創薬のターゲットとなり得るとしており、病態解析などと組み合わせることで臨床応用が期待されるとしている。今後、重症化要因や変異株での遺伝子群探索を行う。

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