田辺三菱製薬は18日、慶応義塾大学と新型コロナウイルス感染症の治療薬開発に向けて共同研究契約を結んだと発表した。コロナ回復者由来の中和抗体を応用した治療薬。米国では外資系企業による同様の抗体医薬が緊急使用されているが、日本発の抗体療法はまだない。田辺三菱の開発ノウハウを生かして臨床試験を進め、国産のコロナ抗体療法の実用化を目指す。

 田辺三菱が共同研究するのは、慶応大、理化学研究所などによる研究成果を引き継いだコロナ治療薬。研究チームはコロナ回復者から得た抗体を解析し、ウイルスに対する中和抗体400種類以上を人工的に作製。この中から、ウイルス感染の足場となる「Sタンパク質」の受容体結合を阻害する力が強く、低濃度でもウイルス感染を完全に防げる抗体として11種類を特定した。今後は田辺三菱と協力して、これらの抗体を応用した治療薬開発を進める。現在は動物実験で効果を検証中。ヒトでの臨床試験の開始時期などは未定。

 中和抗体を応用した治療法は、欧米の製薬企業も開発中。米国では米リジェネロン・ファーマシューティカルズ、米イーライリリーの抗体療法が緊急使用許可されている。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る