田辺三菱製薬は11日、カナダの子会社メディカゴが開発している新型コロナウイルスワクチンが同国で行った第1相臨床試験(P1)で良好な結果を得たと発表した。すべての被験者で免疫応答があり、重篤な副反応はなかった。アジュバント(免疫増強剤)を添加すると効果が高いことも確認。メディカゴは今月中にもP2を開始する。

 カナダの健康成人(18~55歳)180例を対象に行った最初の臨床試験で、中間解析結果を発表した。21日間隔で1人2回接種。3種類の用量グループを設定し、アジュバントを添加する/しないグループに分けて検証した。アジュバントは、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、米ディナバックスから導入した2種類を比較した。

 中間解析の結果、アジュバント添加ワクチンの被験者すべてで、中和抗体と細胞性免疫の誘導が確認された。アジュバントなしの場合より免疫反応が高く、新型コロナの回復者血しょうより抗体量のレベルが高かった。軽度~中等度の副反応はあったが、重篤なものは報告されなかった。

 メディカゴは今月中に症例数を増やしたP2を始める。P1で投与した3段階の用量設定のうち最も少ない用量で行う。アジュバントはGSK品のみが使われる見込み。順調に進めば、12月にもグローバルなP3を開始し、来年上期の実用化を目指している。

 同ワクチンは、植物由来のウイルス様粒子(VLP)を使用。来年中に最大7600万回分を供給することでカナダ政府と合意している。

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