石油化学工業協会の森川宏平会長(昭和電工社長)が主要な石油化学製品生産・出荷実績の公表にあわせて23日にコメントを発表し、新型コロナウイルスなどの影響で「国内外の経済情勢は厳しさを増している」と現状の認識を示した。今後については「新型コロナ禍の収束のタイミングや低迷する石油動向、世界の景気動向などマイナスの不確定要素が多く、先を見通せないのが現状」と先行きに対する懸念を示した。

 2020年3月は国内エチレン設備の稼働率が88・7%となり、好不況の目安となる90%を下回った。稼働率の90%割れは13年11月以来6年4カ月ぶり。森川会長は稼働率低下は需要減によるものとしたうえで「中国経済の減速、米中貿易摩擦などによる世界景気の停滞に加え、新型コロナ感染拡大の影響も出てきている」と言及した。

 石化協は今年1月時点で、20年のエチレン生産量は稼働率95%想定で610万トンと、18年並みの予想を立てた。だが、新型コロナ禍が長引けば石化製品の需要にも深刻な影響を与える。森川会長は「新型コロナ対策としてのさまざまな取り組みや政府による緊急経済対策の速やかかつ着実な実施により、感染の収束とわが国経済の早期回復を強く期待する」とコメントした。

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