第一三共が申請していたがん治療用ウイルス「デリタクト」(開発コードG47Δ)が24日、厚生労働省の専門部会を通過し、7年の期限付きで承認の見通しとなった。ヘルペスウイルスを基にがん細胞を攻撃できるよう遺伝子改変した薬剤で、悪性の神経膠腫(グリオーマ)が対象。がんへの治療ウイルスが承認となれば日本では初めてだ。

 条件・期限付き承認制度により第3相臨床試験(P3)を省略し、P2の結果で審査した。部会は了承したものの、患者数が少ない点を考慮し、これまでで最も長い7年の期限がついた。この間に使用される全症例で有効性と安全性を確認する。

 東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授が進めてきた研究成果に基づき、第一三共が今年初めに申請していた。放射線や抗がん剤で前治療を行った患者が対象で、穿頭手術して腫瘍に注射投与する。

 このほか、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの眼科疾患向け角膜上皮細胞シート「オキュラル」の承認を了承。日本再生医療の心疾患向け幹細胞懸濁液「JRM―001」の希少疾病用再生医療等製品への指定も了承した。

 また、カルタヘナ法の対象になる医薬品で承認事項の一部変更申請(一変申請)を容易にする通知を近く厚労省が出すことも決まった。遺伝子組み換え技術を用いるために法の規制対象になると、一変申請が困難だった。申請書の記載事項などを明確化し、研究開発がしやすい環境を整える。

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