米アテア・ファーマシューティカルズは19日、スイス・ロシュと開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬「AT-527」について、外来患者を対象にした第2相臨床試験(P2)で主要評価項目を達成しなかったと発表した。ウイルス量を減少させる効果が認められなかった。進行中のP3設定を見直して開発を継続する。

 軽症・中等症のコロナ外来患者を対象に実施したP2の速報結果。主要評価項目であるウイルス量の減少について、プラセボ群との明確な有意差がなかった。基礎疾患があり重症化リスクが高い患者に限定すると減少する傾向は認められた。アテアは評価項目が未達になった要因として、被験者の3分の2は低リスクな軽症患者だったため有意差が出にくかったことや、新たな変異株、ワクチン接種状況のばらつきなどを挙げている。

 入院患者に対する別のP2は抗ウイルス効果を確認しているとして、開発は継続する。今回のデータを踏まえてP3の設定を見直す。来年下期に結果が出る予定。P3には日本も参加している。

 同剤はコロナウイルスの増殖を阻害する経口RNAポリメラーゼ阻害剤。同じ作用機序では米メルクの「モルヌピラビル」が先行し、年内にも各国で実用化となる見通し。

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