米イーライリリーは、新型コロナウイルスに対する抗体医薬の開発で、臨床試験の中間結果を初めて発表した。3種類ある用量設定のうち、1種類のみが有効性の主要評価項目を達成した。プラセボ群も早期にウイルスが陰性化した症例が多く、有効性にばらつきが生じた。安全性の問題はなかったことから、同社は米国などの薬事当局と承認申請に向けた協議を始める。

 軽度~中等症の新型コロナ患者を対象に、米国で実施している第2相臨床試験(P2)。中間結果として約450例分を解析した。主要評価項目は、11日目までのウイルス量の変化。低/中/高用量と3種類の用量設定で投与したところ、中用量のみが評価項目を達成した。入院/救急外来を受診した患者の比率は、抗体薬の投与群(1・7%)がプラセボ群(6%)を下回った。

 プラセボ群を含むほとんどの症例で11日目までにウイルスが消失したことも、結果のばらつきに影響したとみられる。ただ、安全性評価では薬剤による重篤な副作用も報告されなかったことから、残りの試験を継続しながら当局と承認申請に向けた協議を始める方針。

 同社が開発しているのは感染者由来のモノクローナル抗体を投与する治療法。米リジェネロン・ファーマシューティカルズ、英グラクソ・スミスクライン(GSK)も抗体薬の後期臨床試験を行っている。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

ライフイノベーションの最新記事もっと見る