米メルクは、新型コロナウイルスワクチン2剤の開発を中止すると発表した。企業買収などによって2つのコロナワクチンを開発してきたが、他社のワクチンや自然免疫を上回るほどの効果は見込めないと判断した。同社は先行する米ファイザーや英アストラゼネカなどより遅れてコロナワクチンの開発に参入。確実性や安全性を重視するためと主張してきたが、先行各社より優位性を見い出せなかった。

 米メルクは非営利団体「国際エイズワクチン推進構想(IAVI)」と提携した「V590」、オーストリアのテーミス・バイオサイエンスを買収して獲得した「V591」と2つのコロナワクチンを開発。いずれもウイルスベクターワクチンで、590は水疱性口炎ウイルス、591は麻疹ウイルスをベクター(抗原遺伝子の運び屋)にしたワクチン。接種1回の用法や経口投与なども検討していた。昨秋から第1相臨床試験を実施してきたが、開発が進んでいる他社のワクチンや自然免疫を上回るほどの免疫反応は見込めないと判断。両ワクチンとも開発中止を決めた。

 治療薬の開発は継続する。企業買収と共同開発で2剤を開発中で、いずれも3月までに最終治験の結果や速報データが出る見通し。

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