米国化学工業協会(ACC)は2020年の同国の化学品生産が19年に比べて3・3%減少するとの見通しをまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、自動車や建築分野向けを中心とする需要の減速と輸出減退などが背景。20年第2四半期末までに新型コロナウイルスにかかわる各種規制が解除されることが見通しの前提になっており、今後の状況次第では生産がさらに減る可能性がある。

 ACCでは、20年は生産が減少するものの、21年は5・2%増えると見込んでいる。出荷量は20年に10%減少し、21年には7・8%の増加に転じると予想している。

 20年は新型コロナウイルスに対処するための個人防護具(PPE)、洗浄剤や消毒剤、医療資材向けなどの材料の生産が増えることで、3・3%の生産減少にとどまるとしている。

 生産減の背景は自動車や建築分野などの不振。ACCの予測では20年の米国の自動車販売台数は前年の約1700万台から1310万台に減り、住宅着工件数も大きく減退すると見込んでいる。

 ACCはこのほか、20年の米国の国内総生産(GDP)が前年比4%、個人消費が同4・6%それぞれ減少するとの見通しを示しており、化学産業は厳しい環境に直面し続けるとの判断を示している。この結果、20年の設備投資は同2%減退すると見込んでいる。

 新型コロナウイルスの感染拡大はまた、雇用情勢にも影響を及ぼす。ACCによれば、過去4週間で米国では2000万人以上が失業保険を申請したとされており、20年第2四半期末までに失業率は13%を超える。20年の化学産業の雇用者は5・1%に当たる2万8000人の減少を予想している。

 ACCは20年の米国の化学産業の見通しを更新し、6月に発表する予定だ。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

エネルギー・素材の最新記事もっと見る