英オックスフォード大学は、中外製薬の抗体医薬「アクテムラ」を新型コロナウイルス感染症患者に投与した臨床試験で、重症患者の死亡リスクを低下させる結果を得たと発表した。アクテムラ投与群の死亡率は29%で、通常治療の33%を下回った。退院率も上昇した。治験の最終結果は今後、医学雑誌に論文掲載する予定。

 さまざまなコロナ治療薬候補を検証する大規模臨床試験の一環で、アクテムラを投与した治験の速報結果を報告。約2000例にアクテムラを投与し、通常治療が行われた約2100例と有効性などを比較した。被験者の約8割はデキサメタゾンなどのステロイド剤も投与していた。

 投与28日以内の死亡例は、アクテムラ群が596人(29%)、通常治療群694人(33%)で、アクテムラ群のほうが死亡率が低かった。またアクテムラ群は、同期間に退院できる確率が47%から54%に上昇した。数値は明らかにしていないが、退院までの日数や人工呼吸器の使用率なども低下させた。デキサメタゾンなどと併用することで、人工呼吸器などが必要な患者の死亡率が半減することも示唆されたという。

 英国では先月、英国民保健サービス(NHS)で推奨するコロナ治療薬としてアクテムラなどが追加された。集中治療室(ICU)に入院した重症患者に使われている。

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