関西ペイントは、漆喰塗料を活用した接触感染対策製品の増産に着手する。新型コロナウイルス流行にともなうニーズの高まりを受け、簡易施工が可能なシート状製品の販売が急伸。加工工程を担う協力事業者の増加を含め、月産5万セットの量産体制を確立した。さらなる追加生産にも対応可能とする。

 3月末に発売した「接触感染対策シート」を増産する。初期生産分数万セットの完売にともない、4月半ば以降の生産量を大幅に引き上げる。不織布基材に漆喰塗料「アレスシックイモンティアート」をコーティングしたもので、塗料は東西2拠点制で生産する。塗装・裁断などの後工程は複数の加工メーカーが担い、全国への安定供給体制を確保。今後予想される抗菌・抗ウイルスニーズの定着に備える。

 人手の触れるドアノブ・手すりへの貼付が主用途。各種インフルエンザウイルスなどのエンベロープウイルス数種に加え、アルコールや熱への耐性の強いノンエンベロープウイルス1種に対する不活性化効果を確認している。施工が簡便で貼り替えが可能な点が評価されたほか、担当者によれば「金属イオンなど他の抗菌機構に比べ、強アルカリ性による即効性の点での優位性を発揮」しているという。

 抗菌ニーズは早くも、同社のビジネスモデルにも影響を与え始めた。当初はホームセンターなどを通じた家庭向けのBtoC販売を中心に想定したが、都市部のオフィスビルや病院、公的機関向けなどBtoB用途が拡大。また住宅など補修塗装の施工過程でも、養生サービスの一種としての使用形態が出始めた。

 ベースとなったアレスシックイモンティアートは工場塗装を主眼とする塗料製品。これまでも各種工業製品に採用され、越前和紙や加工紙と組み合わせた粘着製品も数多い。開発では建築・工業用の両塗料本部が連携を深化させ、新規ニーズを開拓する。2020年内をめどに集団感染対策としての災害用途を念頭に置く製品を開発するほか、建築資材向け製品の開発も検討中という。

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