順天堂大学と第一薬品産業(東京都中央区)は新型コロナウイルス感染症の早期診断に役立つ簡易嗅覚確認キットを開発、来月12日に発売すると発表した。発熱やせきなどの諸症状やPCR検査で陽性と分かる前の段階で嗅覚障害が出ることに着目。自身の嗅覚異常を客観的にとらえられるようにすることを通じ、無症状者の早期発見・対処につなげる。

 新型コロナウイルス感染症では8割以上の症例で嗅覚異常が生じているといい、最も早くに出てくる症状とみられる。イスラエルからの報告ではPCRで陽性と判明する3週間前から出てくるという。発熱などと比べ、同感染症に特徴的な症状との指摘もある。

 そこで同大の池田勝久主任教授らは、嗅覚障害に注目。嗅覚異常の有無を自身で簡単に行えるようにすることによって、新型コロナウイルス感染症の早期診断やスクリーニングに結び付けていくことを狙った。

 嗅覚検査製品を手がけている第一薬品産業とともに開発したキットは、小型ボトルの中のにおいを嗅ぐことで異常かどうかを判定する。においは「青リンゴ」「カラメル」の2種類。におい成分をボトルの中にある脱脂綿に含ませており、繰り返し使うことができる。50歳を境に嗅覚の変化が出てくるため、50歳未満と50歳以上のそれぞれに対応したキットを用意した。

 キットの価格は1本で1650円(税込み・送料込み)、2本で2750円(同)。まず3000セット生産し、状況に応じ、追加の供給も計画する。第一薬品産業のホームページ(HP)から予約・購入が可能だ。

 このほど都内で会見した池田主任教授は、「できれば体温を測るように嗅覚確認をしてもらえるようになれば」と話す。また、第一薬品産業の深澤雄二郎取締役は、薬事申請については「データ解析を行ったうえで考えたい」と語った。

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