医療情報サービス大手のIQVIAソリューションズ・ジャパンは新型コロナウイルスの影響を反映した2020年度以降の国内医薬品市場について予測データをまとめた。今年度(20年4月~21年3月)は新型コロナの影響で市場規模が最大3030億円減少すると予想。4~6月期の落ち込みを底に回復するが、4年後もコロナ禍の減収分を完全に取り戻すことはできないとみている。

 IQVIAのレポートによると、今年度の国内医薬品市場の売上規模予想は10兆5300億~10兆7300億円。新型コロナの影響を除いた予測基準値より2530億~3030億円減少する見込み。前年比の伸び率では3・1減~2・1%減のマイナス成長で、基準値(0・8%減~0・2%増)より落ち込みが拡大するとみている。

 とくに影響が大きいのは4~6月期で、前年同期より約5%、基準値より4・6%縮小する見込み。外出制限や医療機関の封鎖などによりコロナ以外の受診・処方頻度が減少していることが要因。ただ、感染症や呼吸器系疾患、中枢神経疾患などは受診控えの影響が少ないと分析している。

 7~9月期から徐々に回復し、21年度は今年度の反動で最大10兆7810億円まで増加。だがコロナ以前からの縮小基調は変わらず、24年度は10兆3930億~10兆5930億円に減少すると予想。同年度の基準値(10兆4580億~10兆6580億円)も下回り、4年経ってもコロナの影響を完全に回復するのは難しい見通しだ。

 長期処方の増加も指摘している。生活習慣病など慢性疾患分野では、2月後半から3月上旬の受診で1回の処方量(期間)が多かった。長期処方は今後も増え、結果的に処方期間の基準が長期化する可能性を指摘している。

 レポートは新型コロナの流行が今年4~6月にピークを迎え、10~12月期または来年1~3月期までに収束する(新規感染が28日間報告されない状態)前提で分析された。

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