2020年版「通商白書」が7日、閣議配布された。新型コロナウイルスの感染拡大により世界は大恐慌以来最悪の経済危機に直面していると指摘。経済のみならず社会のあり方そのものに見直しを迫られており、危機に柔軟に対応できる強じんな経済社会システムを築くことが重要だと論じている。

 コロナショックを、人と人の接触制限に起因した「供給ショック」と「需要ショック」が併発した世界規模での経済危機ととらえた。これが「所得・雇用ショック」につながり、経済悪化の負の連鎖に陥っているという。

 過去の経済危機とは性格が異なり、伝統的な経済対策では危機克服にいたらない異次元の経済危機と位置付けた。

 現代のサプライチェーン(SC)が有する効率的な生産体制(少ない在庫、コスト競争力のある海外での集中生産)、陸海空の機動的な物流、人の円滑な移動という特徴のいずれにおいても供給途絶リスクが顕在化したと分析。強じんなSCネットワークの構築にとっては、調達の多様化や在庫の適正な確保が有効。これまでの自然災害においてもこうした動きはみられていたが、コロナショックは世界規模で発生していることから、デジタル活用も含めて従来の対応を上回る対策の必要性を訴えた。

 将来の新たな危機にも柔軟に対応できるSCへの変革を不可避とした。製品の用途や性質に応じてボトルネックとなる事態を想定し、その解消のためにどのような措置を講じるのか、製品の類型ごとに議論することを求めた。

 SCの見直しが進むなかで、国境を越えた交流による付加価値の追求は、デジタル分野に重心を移動するという。デジタル化の加速や越境電子商取引が拡大するなか、地方の中堅・中小企業が世界市場に直接打って出る「グローカル成長戦略」も重要になるとした。

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