日本医療研究開発機構(AMED)は、新型コロナウイルス感染症に対する医薬品開発で日本製薬工業協会(製薬協)との連携を強化する。加盟する各社との協力の下、①低分子化合物の提供②ワクチン開発③中和抗体医薬品-の3テーマに取り組むことを確認した。テーマの一部では関心を寄せている製薬企業も出ているといい、産学官が一体となって取り組める体制を整える。
 低分子化合物の提供では、既存品のなかから新型コロナ感染症に有効性のある薬剤を見いだす、いわゆる「ドラッグ・リポジショニング」を目指す。厚生労働省や国立感染症研究所からの依頼に基づき、すでに製薬各社から原薬の提供も行っている。
 併せて、AMED事業の枠組みも利用。コンピューターを使った「イン・シリコ・スクリーニング」によって良好な活性が認められる化合物に対して、製薬協を通じ加盟各社に化合物原薬の提供も呼びかけていく。
 ワクチン開発に関してはバイオセーフティレベル3(BSL-3)施設の活用を推進する。実際に同ウイルスを扱える国内のBSL-3施設で実験や開発ができるようにする。早くも製薬企業1社が興味を抱いているとしている。
 中和抗体医薬品の開発については、AMEDで収集した患者の血液検体を用いるかたちで展開する。製薬協から会員各社に募ったところ、血しょう分画製剤となる中和抗体医薬品に取り組みたいとして3社が手を挙げたという。患者の血中にある抗体を有効活用することで、新たな治療法確立へとつなげていく。
 円滑な連携を実現するため、AMDEでは相談窓口を設置するなどの取り組みを予定。治療薬・ワクチンの早期実用化を後押しする。

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