日本医療研究開発機構(AMED)は27日、医療分野の研究開発強化を追加支援する今年度2回目の調整費(理事長裁量型経費)の配分を決めたと発表した。今回の調整費は95・5億円で、新型コロナウイルス感染症の治療薬や診断機器などの実用化・環境整備に36・7億円と厚く投じるとともに、ゲノム編集、ヘテロ核酸、遺伝子治療、超高感度センシングといった先端医療技術の開発を推進する。

 コロナ対策では治療薬の早期実用化、医療機器・予防システムの実証・改良研究のそれぞれの環境整備に10億円を投じる。いずれも公募型事業で、ウイルス取り扱いを高度管理できる実験室BSL-3施設で治療薬候補を評価できるようにするほか、予測性の高い動物モデルやバイオマーカーの開発を推進する。

 ニューノーマルへの対応として遠隔対応型の精神医療とメンタルヘルスケアの基盤システムの開発・実用化に2億円を振り向ける。コロナ禍で精神疾患患者だけでなく医療従事者や一般にも不眠やうつなどの症状の顕在化が懸念され、遠隔診療で症状や重症度を診断できる技術を開発する。

 医薬品や医療機器など6分野で取り組む先端医療の研究開発では、目的外変異のない高精度ゲノム編集法やがん診断に用いる超高感度センシング技術の開発を充実させるほか、遺伝子改変T細胞を用いた新規がん免疫療法の治験を加速し企業への導出を見据える。

 このほか、コロナワクチン開発で注目されているmRNAやsiRNA医薬といったRNA製品の製造、品質・安全評価を行える開発基盤の構築を公募によって進める。

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