厚生労働省は30日、アストラゼネカ(AZ)の新型コロナウイルス感染症に対する新規中和抗体薬「エバシェルド筋注セット」を特例承認したと発表した。治療と予防それぞれで使え、2種類の中和抗体で構成する。併せて、ファイザーの新型コロナワクチン「コミナティ筋注5~11歳用」を追加接種で利用できるようにする一部承認変更も承認した。

 エバシェルドは2種類の抗体「チキサゲビマブ」「シルガビマブ」をそれぞれ筋肉注射する。治療では300ミリグラムずつ、予防では150ミリグラムずつを投与する。いずれも成人および12歳以上かつ体重40キログラム以上の小児が対象となる。

 主な投与対象は、発症後の治療は重症化リスク因子を有する軽症から中等症Ⅰの患者。予防に関しては免疫不全症の患者や抗がん剤の投与を受けている人、臓器移植を受けた人らワクチン接種では免疫が不十分な人を対象とする。濃厚接触者でない人への予防薬としては国内初となる。

 変異株「BA.2」系統に対する効果の大きな低下はないとする一方、同「BA.4」「BA.5」両系統では有効性が弱まる恐れがあるため、投与量を300ミリグラムずつに引き上げたうえ、投与する。国内の変異株の状況を踏まえると、「300ミリグラム投与が基本になるとみている」(同省)。

 現在、政府は300ミリグラム投与を前提に15万人分を確保し、まず3万人分を供給する。購入金額は非開示。流通の詳細は「調整中」(同)で、決まり次第、公表する。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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