英製薬アストラゼネカ(AZ)の日本法人は5日、新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」を厚生労働省に製造販売承認申請したと発表した。海外で行った大規模治験の結果を根拠に申請した。1人2回接種で、18歳以上への接種を想定している。欧州などでは除外されている高齢者も含まれるかは薬事当局の判断次第という。3月に国内治験の結果を追加提出した後、承認が判断される見通し。同月末までにまず3000万回分を供給する。JCRファーマ、第一三共、明治ホールディングス(HD)子会社が国内製造や流通を担う。今月中旬にも接種が始まる米ファイザー・独ビオンテックのワクチンに続き、国内申請された2つ目のコロナワクチンになる。

 英国やブラジルで行った第3相臨床試験(P3)結果を根拠に承認申請した。海外で承認されている医薬品などで、緊急時に承認審査を大幅に短縮できる「特例承認」の適用も求めている。約250例を登録した国内治験の結果も3月中には提出する。厚労省は国内治験データを確認した上で承認すると見られる。国内、海外治験ともに18歳以上を対象に2回接種で行っており、同様の適応で申請した。

 英国などの海外P3は合計2万3000例超を組み入れ、髄膜炎菌ワクチンを接種した場合と比較。発症予防効果を示す有効率は全体平均で70%だった。だが用量が少ない方が有効率が高いなど結果にばらつきがあり、各国の評価が分かれている。また被験者の約9割が55歳以下だったことから、欧州などでは55~65歳以上への接種は認めない国が増えている。日本での適用範囲は薬事当局が判断するという。

 日本へは今年中に1億2000万回分を供給する契約を結んでおり、うち3000万回分は3月末までに供給する。ワクチン原液の9000万回分以上はJCRファーマが国内生産し、残りはAZが海外から供給する。バイアル充填と包装工程は、第一三共バイオテックと明治HD子会社のKMバイオロジクスが受託。ワクチンの保管・配送や安全性情報の収集業務はMeiji Seikaファルマが請け負う。

 AZのコロナワクチンは、チンパンジー由来のアデノウイルスにコロナウイルスの抗原遺伝子を組み込んだワクチン。通常の冷蔵条件(2~8度)で6カ月以上保存できるため、ファイザーなどのワクチンより管理しやすい。これまでに50カ国近くで緊急使用などが許可されている。

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