欧州医薬品審査庁(EMA)は、英アストラゼネカ(AZ)の新型コロナウイルスワクチンについて安全性を確認したと発表した。欧州で報告されている血栓症について調査した結果、ワクチンとの因果関係は認められなかった。血栓リスクを懸念して域内十数カ国が接種を見合わせてきたが、今週中には多くの国で接種が再開される見通し。
 欧州・英国でAZ製ワクチンの接種を受けた人は16日時点で約2000万人。臨床試験を含めてこれまでに報告された血栓イベントは約470例あった。自然発生する頻度を下回ることからEMAは、同ワクチンにより血栓症リスクが高まることはなく、「ワクチン接種で得られるベネフィットはリスクを上回る」と結論づけた。また、特定の製造バッチや製造所が要因でもないとした。
 ただし一部の症例には注意が必要なこともわかった。全身の血管内に血栓が多発する播種性血管内凝固症候群(DIC)が7例、脳に血栓ができる静脈洞血栓症(CVST)が18例あった。このうち9例は死亡し、多くが55歳未満の女性だった。これを踏まえてフランス政府は、接種は再開するものの、55歳以上に限定して推奨する方針だ。

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