ENEOSホールディングス(HD)は10日、4月1日付で斉藤猛取締役副社長執行役員が社長に就任する人事を発表した。大田勝幸社長は同日付で代表権のない副会長に就き、取締役会を経て取締役会議長に就任する。杉森務会長は留任する。2023年度から始まる次期中期経営計画を前に、その策定期である来期から執行体制を刷新し、カーボンニュートラル(CN)に向け構造改革を急ぐ。

 斉藤氏は主に販売畑を歩み、21年からはデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の推進、電気自動車(EV)事業など社長補佐として主要な管理部門を担当した。10日の社長交代会見で杉森会長は指名の理由について、「基盤、成長事業やDX戦略に精通し、ガバナンスの重要性も熟知するなど最もバランスのとれた人材だ」と評価した。

 斉藤氏は「再エネや水素、CCS(二酸化炭素の回収・貯蔵)、資源リサイクル事業など環境対応型事業などを進めていく」との考えを示し、「第2の創業を任されたと認識している」と語った。

 CNの流れの中でのコンビナートのあり方については「エネルギーの安定供給が問われるなか、水素はこの課題に応えるものだ」と言及。石油化学についても「需要家とコンビナートを組んで素材の安定供給に努める。イノベーションなどでも連携したい」と述べた。

 〔斉藤 猛氏=さいとう・たけし〕86年(昭和61年)早稲田大学政治経済学部卒、日本石油(現ENEOSHD)入社。19年JXTGエネルギー(現ENEOS)取締役常務執行役員、21年ENEOSHD取締役副社長執行役員。熊本県出身、59歳。

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