米国立衛生研究所(NIH)は、英グラクソ・スミスクライン(GSK)と米ヴィル・バイオテクノロジーが新型コロナウイルス感染症治療薬として開発中の抗体医薬「VIR-7831」について、NIHが実施している第3相臨床試験(P3)の一部を中止すると発表した。症例登録の公平性に問題があり、第三者機関から症例登録の中止を勧告された。薬剤の開発自体は継続する。

 官民連携でコロナ治療薬の有効性を検証するNIHの治験プログラム(ACTIV-3)の一部で、軽症~中等症の入院患者にVIR-7831を投与する治験を実施していた。データ安全性モニタリング委員会の中間評価で、比較対象とするプラセボ群のほうが重症例が多く登録されたことが指摘された。データの公平性を欠く無効な臨床試験になったとして、症例登録の終了が勧告された。安全性に関する問題はなかった。

 NIHは、同じくACTIV-3で検証していた中国企業の抗体療法も、症例登録の終了を決定した。理由は明らかにしていない。同試験では、米イーライリリーの抗体療法「バムラニビマブ」も入院患者への効果が見込めず中止されている。

 7831の開発自体は継続される。NIHでは、軽症患者を対象にバムラニビマブと併用する治験も進行中。

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