プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ジャパンは、国内企業ではいち早く2001年にテレワーク制度を導入。当初は介護など特別な理由がある社員向けの働き方だった。08年からは理由にかかわらず原則月5回、上司の承認があれば10回まで使える制度に変更した。自宅などで集中して処理したい業務がある日に実践するケースも多く、すでに多くの拠点・部署で浸透しているようだ。

 導入にあたってはセキュリティなどハード面の整備とともに従業員、役員の意識改革に力を入れた。テレワークする側は、いつ、どこで働いているかなどをチームに共有し、リモートだからこそ成果物や結果に責任を持つ。一方、会社側には働いた時間よりも結果で査定する意識を持たせるように変えていった。また、テレワークを初めて行う際はセキュリティなどに関するトレーニングも設けている。

 新型コロナウイルスの影響で3月から生産部門や一部の美容部員などを除く社員が原則、在宅勤務となった。同社は以前からテレワークが浸透していたためスムーズに移行できたが、コロナ禍では自主的な休憩や勤務時間を区切るなどメンタルケアを促し、オン/オフの明確化に努めている。

 長期間対面しないゆえの課題もあった。同社の担当者は「オンライン上でのコミュニケーションに慣れてはいるものの、社内だと発生するような立ち話や雑談から共有できるインスピレーションの機会が減ったように感じる」と話す。このためリモートでも気軽に雑談できるオンラインランチの機会を設けるなど、気軽に声をかけ合う機会を増やしている。

 自宅でのテレワークを健康的、円滑に進めることを目的に金銭的なサポートも行う。金額の上限はあるものの、インターネット環境を整備した費用やハイテーブル、いすなどの購入費を補助する仕組みがある。一人暮らしではローテーブルに正座して作業するケースも多く、会社としてできる限り快適な仕事環境を支援する。

 コロナ収束後は、より柔軟な働き方ができるテレワーク制度の整備、文化づくりをしていく考えだ。(随時掲載)

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る