京都府立医科大学附属病院と京都大学医学部附属病院は、無症状の患者に対する新型コロナウイルスのPCR検査を保険適用するよう求める共同声明を出した。新型コロナウイルスの院内感染の拡大が大きな問題となるなか、その防止策として保健医療費などを充てることができるように強く要望。また、検査実施で必要となる個人防護具、試薬の確保も要請した。

 声明では無症状のウイルス保有者に対する診療、手術などを通じて、他の患者や医療従事者に感染が広がる恐れをまず指摘。医療崩壊が起きてしまうとの強い懸念を表明した。そのうえで、院内感染を防ぐ水際対策として欧米で導入している検査・手術前にスクリーニングPCR検査を行うべきだと訴えた。

 現状、新型コロナウイルスのPCR検査については、症状のある患者に対して診断する目的で行った場合にのみ保険適用される。無症状のケースで行うと1人当たり約2万円の自己負担となり、患者、病院双方での負担になってしまう。

 そのため、院内感染のリスクを低減するためにも、手術や分娩、内視鏡検査、救急医療の診療前にPCRを活用する必要性があると強調し、保険適用の対象に含めるべきだとした。PCR検査の能力に関しては、目下、保険適用範囲が限られていることから余力があるとしている。

 共同声明は15日付で、インターネットを通じて公表している。併せて、他の医療団体に対しても賛同を募り、声明を出すようにも呼びかけた。

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