塩ビ工業・環境協会(VEC)が20日に発表した3月の塩化ビニル樹脂(PVC)出荷は、前年同月比4・0%減の13万8539トンで、6カ月連続の前年割れとなった。今年度の業界見通しとして横田浩会長(トクヤマ社長)はコメントを発表し、建設業界の未着工案件の多さや半導体関連向け需要の回復など好材料を挙げる一方で、「新型コロナウイルスの拡大の影響が塩ビ需要下振れの最大のリスク要因となっている」と指摘した。

 潜在的な需要は前年度並みを予想するも、新型コロナの影響が顕在化する可能性がある。主用途のパイプや床材などの需要先である建設業界では、大手ゼネコンが相次いでオフィスビルなどの建設現場での一時中止を発表したり、その検討を進めている。政府の緊急事態宣言は16日夜から対象地域が全国に拡大されており、全国での工事中断は塩ビ需要を押し下げる要因になりかねない。

 こうしたなか、3月の国内出荷は同4・2%減の8万4202トン。用途別はいずれも減少傾向で、パイプ向けとなる硬質用が同1・7%、軟質用が同7・7%、電線その他用途が同6・3%の減少幅となった。

 輸出は同3・7%減の5万4337トン。主要な輸出先のインドではロックダウン(都市封鎖)が延長されたが、横田会長は「ロックダウン後の生産再開を見越した発注が再開され、徐々に輸出市場に動きが出てきた」との見方を示した。

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