世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症の重症患者に対する治療薬として、中外製薬が創製した抗体医薬「アクテムラ」などを推奨することを発表した。各国の臨床試験データなどを評価した結果、重症例の死亡や重症化リスクを下げる効果があると判断した。

 コロナ治療薬のガイドラインを更新し、アクテムラ、仏サノフィと米リジェネロン・ファーマシューティカルズの「サリルマブ」を推奨薬剤に追加した。コルチコステロイドと併用投与する。各国で行われた臨床試験27件、1万人以上のデータを解析し、標準治療と比べ死亡リスクを13%、人工呼吸器が必要な重症化リスクを28%とする結果を得た。ただ、両剤ともバイオ医薬品で高額なため、途上国向けの薬価引き下げや特許権の放棄などを企業に求めている。

 アクテムラは先月、米国でも入院患者の治療薬として緊急使用許可(EUA)が出ている。日本では年内に中外製薬がコロナ適応追加を申請予定。

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