富士フイルムは9日、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)について、米国で新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした第2相臨床試験(治験)を開始すると発表した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で治療法の開発ニーズが高まるなか、日本に続き、感染者数が世界最多の米国でも治験に乗り出す。
 治験は数十例の患者を対象に、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院やマサチューセッツ総合病院のほか、マサチューセッツ州立大学メディカルスクールの3施設で実施を予定しているという。
 国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得しているアビガンは、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐ作用機序を有する。こうしたメカニズムの特徴からインフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても同様の効果が期待されており、臨床応用への検討が進んでいる。
 すでに3月末には子会社の富士フイルム富山化学において、新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした国内第3相治験に着手。国内外のパートナーとの連携によるアビガンの増産体制の整備を進めるとともに、早期の治療法確立に向けた取り組みを加速している。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る