新型コロナウイルスの感染拡大で、帝人が建設を進める米国炭素繊維工場の稼働が遅れそうだ。当初は2020年度後半での工場稼働を予定していたが、エンジニアが渡米できない状況が続く。また、減産体制を講じる航空機などのユーザー動向とも連動し、「結果として稼働時期が遅れる可能性がある」(園部芳久専務執行役員)との見方を示している。

 帝人では現在、米サウスカロライナ州で炭素繊維の新拠点を建設中。20年度内での稼働に向け建設工事自体は順調に進むものの、最終調整には日本からエンジニアを派遣し、確認・点検作業などを行う必要がある。しかし、コロナ渦で渡米ができない現状では、「稼働時期が大幅に遅れることもある」(同)としている。

 また、稼働時期は顧客の生産動向とも連動する。主要顧客の航空機メーカーが新型コロナの影響で減産するなどの措置を講じている。このため、「航空機メーカーの動向なども見極めながら稼働時期を決定する」(同)考えを示した。

 そのほか、帝人では米国で複合成形材料を製造している。傘下のコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP)社が保有する製造拠点では、約50%の稼働状況が続いているいう。しかし、主力の自動車メーカーが5月中旬からの生産再開を予定していることから、「各自動車OEMの生産に対応して稼働率を上げる」(園部専務執行役員)とした。

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