化学大手のトップがデジタル化の旗を懸命に振っている。事業の先行きに不透明感を抱えていたところに、新型コロナウイルスという大波が押し寄せた。米中摩擦の激化も懸念されるなか、競争力を維持できるのか、危機感は募るばかり。そこで打開策として重視するのが、デジタル化によるビジネスモデルの刷新だ。固定観念にとらわれることがないように外部からIT人材を招聘し、経営トップの下でデジタル革新を着々と進めている。各社に共通する課題は業務の迅速化と、外部との共創を図るオープン化、それにデジタル人材の育成である。旭化成の久世和資執行役員エグゼクティブフェローは「差別化技術といえども社内に囲っていては本当の意味でのデジタル化の妨げになる」と話す。三菱ケミカルホールディングスの浦本直彦執行役員CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)は「貴重なデータを外部とも共有することで、さらに価値を高めるようにすべき」という。また独自のプラットフォームを使って創薬効率を高めている中外製薬の初代デジタル・IT統轄部門長である志済聡子執行役員は「世界のトップイノベーターを目指す」と語気を強める。3者とも日本IBM出身であり、畑違いへの転職ながら「温かく迎えてもらった」という共通点がある。デジタル化を担うキーマンに化学に関心を持った背景と意気込みを聞いた。(広木功)続きは本紙で

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

先端材料・部材の最新記事もっと見る