名古屋市立大学の立野一郎講師、長谷川忠男教授らの研究グループはこのほど、可視パルス光照射による効率的な殺菌手法を開発したと発表した。細菌やウイルスが吸収する波長の高輝度可視光をナノ秒照射することで、局所的に加熱し、殺菌する。新型コロナウイルスをはじめとした病原性ウイルス、細菌の安全かつ簡便な殺菌手法として活用が期待される。

 新型コロナウイルス感染症の流行により、紫外線を用いた殺菌手法が注目されている。一方で、紫外線は人体にも吸収されるため、一定量を超えた照射はアトピー性皮膚炎やがんの原因となる。研究グループは、人体に影響を与えない可視光を用いた殺菌法を開発した。

 細菌やウイルスは可視光域にも効率的に光を吸収する波長領域を持つ。この波長領域に合う光をパルスレーザーで発生させ、瞬間的に照射することで、共鳴励起という現象を発生させる。細菌、ウイルスは、励起によって発生した熱により約300度Cまで加熱され、死滅する。大腸菌で実証実験を行ったところ、パルス光の照射により大腸菌の数が99・99%低減した。

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