アイロムグループと独メルク日本法人は26日、アイロム子会社のIDファーマが開発するウイルスベクターワクチンなどの開発・製造に向けてメルクが技術支援すると発表した。IDファーマが建設中の工場にウイルスベクター対応の製造プロセスを導入するためのサポートを行う。IDファーマは来年早々に新型コロナウイルスワクチンの承認申請を計画しており、医薬品開発・製造受託(CDMO)大手のノウハウを借りながら量産可能な製造体制を今夏に完成させる。

 IDファーマは、国産ウイルスベクターであるセンダイウイルスをベクターにした遺伝子治療やワクチンを開発している。茨城県つくば市にある治験薬を製造している現在の施設だけでは商用生産に対応できないため、同じ敷地内に新たな建屋を建設中。スケールアップした製造ラインの立ち上げに向け、バイオ医薬品のCDMOで実績が豊富なメルクの技術支援を受けることにした。

 ウイルスベクターワクチン・医薬品の原薬製造ラインとして、上流から下流工程まで一貫したプロセス開発に関するコンサルティングをメルクが提供する。新施設の能力は未定だが、培養にはメルク独自のシングルユースバイオリアクターを使う。同社が運営するバイオ医薬品製造のシミュレーションラボ「MLabコラボレーションセンター」を活用した実験や技術研修も行う。

 拡張した新工場でまず製造するのは、センダイウイルスをベクターにしたコロナワクチン。ブースター接種用のワクチンとして今春から臨床試験を開始し、来年1~3月期の承認申請を目指している。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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