島津製作所はこのほど策定した新中期経営計画に、新型コロナウイルス感染症を想定した緊急重要課題への取り組みとして「感染症対策プロジェクト」を盛り込んだ。上田輝久社長は20日、電話会議による会見で、「まずは、微生物特定に最適化した質量分析計(MS)のウイルス同定への応用や、肺炎検査用のウイルス除去装置などの開発に進めたい」との意向を示した。現在、メンバー構成などを検討中で、5月中には具体的な内容や方針を固める。新型コロナの収束にかかわらず継続、感染症全体を対象とする考え。

 同社では、新型コロナ拡大にともない、関連製品について収益性から社会貢献重視にシフト。検出試薬キットを上市したほか、回診用X線撮影装置やアルコールなどの生産増加により拡大しているガスクロマトグラフ(GC)などの需要にも対応していく方針。

 新中計で、同プロジェクトをさらに推進する。微生物の特定に用いるMSでRNAやたんぱく質を計測し、ウイルス同定に活用する。MSやX線撮影装置などのデータをつなげた感染症対策ネットワークの構築も検討。大学や医療機関などとの協働を促進していく考え。

 現在、手作業で行っているX線撮影装置のウイルス除去に光やオゾンなどの技術の活用も想定。多項目同時病原体遺伝子検出や新型コロナ治療薬候補の血中濃度測定、新規治療薬開発支援にかかるシステムの構築にも積極的に取り組む。

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