新型コロナウイルスに対するワクチンを開発している米モデルナは、早ければ今秋にも一部の医療従事者向けにワクチンを供給したい考えを明らかにした。同社のワクチンは、先ごろ世界で初めてヒトでの臨床試験が開始された。正式な実用化は早くても1年後だが、緊急性の高い需要に対しては前倒しで供給できるようにする。
 かねて同社は、開発中の新型コロナ向けワクチン「mRNA-1273」を商用レベルで実用化できるのは早くても12~18カ月後になると発表している。だが23日には、医療関係者など緊急性の高いニーズに対しては、今年秋頃にワクチンを供給することも可能との見方を示した。臨床試験で安全性と有効性が確認できれば、通常の薬事承認を取得する前から限定的に使用が認められる可能性を示唆している。
 米国食品医薬品局(FDA)には、パンデミック発生などの緊急時に必要な医薬品を緊急承認する「緊急使用許可(EUA)」制度がある。今回の新型コロナ流行ではすでに臨床検査分野でEUAが導入され、さらに同制度を緩和したルールが適用されている。
 mRNA-1273は、先週から米国立衛生研究所(NIH)主導の第1相臨床試験が米国で行われている。モデルナは同試験と並行して自社による第2相試験を準備しており、月間数百万本の量産に向けたスケールアップも進めているという。

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