ホロジックジャパン(東京都文京区)は、コロナ禍を足がかりに女性健康分野での飛躍を狙う。新型コロナウイルス感染症検査のため導入が進む同社の遺伝子検査装置「パンサーシステム」は元々、子宮頸(けい)がん検診検査、性感染症検診向けの装置。新型コロナウイルス感染症の流行終息後、各所に設置したパンサーシステムを検診に利用することで、同社の得意分野である女性向け医療で強固なポジションを確保していく。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの低い接種率や性感染症の少ない検査数といった日本特有の状況を踏まえつつ、アフターコロナでの健康増進と事業拡大のビジョンを描く。

 パンサーシステムはRNAを増幅し検出するTMA法を用いた遺伝子検査装置だ。核酸キットアプティマを用いた検査は、厚生労働省が承認した新型コロナウイルス感染症の検査法で、足元、一段と強まる能力拡大への要求から、行政や病院などさまざまな現場への導入が進んでいる。

 国内の機器設置台数は新型コロナウイルス感染症拡大前は30台だったのに対し、現在は62台とわずか1年半で倍増。政府は検査能力の拡大を目指していることからパンサーシステムのさらなる導入が見込まれる。また、新たに導入するTMA法とPCR法のどちらも行える「パンサーフュージョンシステム」も拡大に貢献しそうだ。

 ホロジックジャパンでは機器設置台数の拡大を背景に、元来の強みである女性医療分野を強化する。アフターコロナでは、導入した検査機器の活用法が課題になるとにらみ、パンサーシステムの元々の活用先である子宮頸がん検診検査や性感染症検診の需要取り込みを図る。

 日本ではHPVワクチンの副作用問題を背景にワクチン接種が積極的に推奨されておらず、子宮頸がんの潜在的患者数が非常に多いとされる。足元、年間約4億円規模の検査市場だが、行政による検診拡大の動きなどを踏まえると、最低でも10倍以上の市場拡大が見込めるという。パンサーシステムによる遺伝子検査と同社の強みである細胞診の技術を最大限活用することでシナジーを生み出し、利益を確保する。

 また、同社が野村検査研究所(大阪市中央区)と展開している新型コロナウイルスの郵送検査キットは、性感染症の郵送検査キットを応用したもの。パンサーシステムはTMA法で淋病やクラミジア、トリコモナスなど各種性感染症検査で認証を受けている。検査機器の次の活用法を探るなか、行政の要請による性感染症検診の需要拡大を見込み、分野全体の包括的なシェア獲得を目指す。

 ホロジックジャパンは新型コロナウイルス感染症の検査について、今後1年は続くとみている。行政の動きを始めとした外的要因を織り込みつつ、その後の活用法を明確に示すことで、アフターコロナでもう一段の成長を狙う。

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