ポーラは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、オンラインカウンセリングを開始した。今春、首都圏の販売拠点「ポーラショップ」から導入し、全国各地の店舗へと広げている。当初は緊急事態宣言による休店対応だったが、「ウィズコロナ」時代に移行した現在も、従来のような対面接客は難しい状況が続く。限られた対面時間を最大限に有意義なものとしながら、オンラインを活用して来店時以外にも消費者とつながることで、ポーラをより身近に感じてもらえる存在としていきたい考えだ。

 ポーラが新型コロナウイルスの影響を受け始めたのは1月下旬。百貨店などにおけるインバウンド(訪日外国人)需要の減少だった。その後、中国を中心とした海外で店舗の営業時間短縮や休店の動きが広がり、同様の事態となった国内でも外出自粛の意識が高まり、少なからぬ打撃を受けた。

 そうした緊急事態宣言発令下の4月、首都圏の販売拠点から「オンラインカウンセリングのようなサービスができないか」との声が挙がる。本社の企画部門でも同様の案があったため、同月下旬より具体的な展開に向けた検討を開始。5月の試験実施を経て、6月に250店で本格導入した。7月上旬時点で約840店が導入と取り組みは順調で、エリアも首都圏近郊から全国に広がった。9月までに、販売拠点全体の4分の1にあたる1000店への導入を目指す。

 開始したオンラインカウンセリングはウェブ会議ツール「zoom」を活用。肌悩みや商品の相談などを受けるカウンセリングと、メイクレッスンなどを行うワークショップからなる。ともに完全予約制で数十分程度、無償で実施中だ。

 サービスを受けた既存客からは「オンラインでも親身に相談に乗ってもらえた」など、好意的な反応が寄せられているという。消費者が複数人参加できるワークショップには「次回は友人と参加したい」との声もあり、7月以降は新規客も対象としていく意向。

 オンラインカウンセリングへの期待は、消費者と緊密なコミュニケーションが図れるようになること。エステの事前カウンセリングや商品購入後のアフターフォローをオンラインに代替。従来は来店時の対話に限られていたが、ポーラに触れてもらえる時間が増えたらと願う。加えて新規客にワークショップに参加してもらうことなどで「こうした店舗でこんな人に接客してもらえるのか」という来店の疑似体験にもつながればとする。

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に導入したオンラインカウンセリングだが、新しい生活様式が広がるなか、ブランド体験をより充実させ、また新規客との出会いを広げるため、引き続き活用法を発展させていく。

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