住友理工は、新型コロナウイルス感染症関連研究に参画する。同社の診断用機器「体動センサ」が大阪大学の澤芳樹教授が代表となる「呼吸安定性時間(Respiratory Stability Time:RST)を用いた患者に対する重症化指標に関する研究開発」に採用された。同研究では、体動センサでモニタリングする患者の呼吸状態などからRSTを産出し、重症化の早期発見かつ対応につなげる。日本医療研究開発機構(AMED)が公募する「ウイルス等感染症対策技術開発事業」の採択を得ており、各申請が完了次第、研究開発を開始する。

 体動センサは、住友理工独自の柔軟導電ゴム材料「スマートラバー(SR)」をセンサーとして応用した一般医療機器(クラス1)で、昨年から研究開発向けにモニター販売を行う。帯状のセンサデバイスと計測ユニットの構成で、ベット上にセンサーデバイスを設置することで利用者の心拍や呼吸、体動などの生体データや離着床の同時かつリアルタイム計測を可能とする。収集したデータは計測ユニット経由でパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器での管理、閲覧が可能であり、遠隔でのモニタリングにも適している。

 研究開発チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)重症患者が呼吸器不全に陥る状況を踏まえ、重症化前に呼吸様式の異常が始まっていると考えられることに着目。大阪大学では、昨年9月から体動センサを使用した在宅心不全患者のRSTモニタリング治験を進める。研究開発チームでは、その結果も活用し、重症患者への即時対応と医療従事者の感染リスクを回避できるモニタリングシステムの早期実現を目指す。

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